以前は決まって色彩関係の本を開けば「食欲を感じる色は暖色系の色である」との断定的な記述がよく見られた。
「傾向がある」なら納得できても、断定的な表現にはいささか違和感を覚えた記憶がある。
人の色に対する意識は国や環境、時代によって変化するものだ。
また科学的な裏付けがあたとしても、色に関するイメージや人体反応は先入観や感情等にも大きく左右される。
最近、ある食品メーカーが実施した調査によると、「最も食欲をそそる色」として1位となったのが「緑」で400人中168人がこの色を選んだのだという。「緑」は新鮮な野菜を連想する、と大人気なのだそうで近年の日本人のヘルシー指向を感じさせると言うものがあるらしい。
また、2010/5/30(日)中日新聞の「おうちの科学」内田麻理香さんの記事では
「食品・栄養学の研究で知られる川染節江氏が日本人と米国人に色見本を見せて、食の好み(食欲が増すか否か)を調査した結果、色による好みの違いは万国共通ではなく、日本人は青い色を見ると食欲が減退する傾向があるのに、多くの米国人にはむしろ食欲が増す色である、だそうです。」
とアメリカにおける意外な食欲に関する色の概念を紹介している。
その信憑性はともかく、変動するだろう食欲に対して色の概念を環境や時代背景を考慮せずに「この色はこうだ」と決めつけてしまうことは新興宗教や洗脳教育並に胡散臭い感じを受ける。
もしかしたら、僕達は色の集団催眠にかかっているのかも知れない。
僕は明快な根拠もなく断言するような内容の本を僕は「洗脳本」と呼んでいる。
確かに「〜のようだ」や「〜の傾向がある」等の曖昧な記述よりも断定したほうが明快で一般受けはいい。
そんな本を手に取る人は分かりやすい結果を求めているので当然なのだが反面、洗脳されてしまう確率も高くなる。
占い本を執筆するには役に立つ知識が満載だったりするが、柔軟に検証することも必要ではないだろうか。