先日、本屋で何気なくデザイン関係の本を眺めていた。
多くの能書き本が並ぶ中で新谷雅弘さんの『デザインにルールなんてない 〜Mac世代におくるレイアウト術』と言うタイトルの本が目に止まった。
「ルールなんてない」と言いのけたタイトルに興味は持ったが、実は内容はちら見しかしてない。
だから感想を書く知識も資格もないが、機会があれば読んでみたい本である。
さっと目を通して、デジタルデザイン世代に送るアナログデザインについてのことを語ってるのかな?と言う印象を持った。
一般的に、何事も「ルールなんてない」と言い放つことは大変なことである。
多くの人はルールを求め、それに従って生きようとする。それが一番無難な道であり、裏付けや根拠が安心感を与えてくれる。一種の宗教と同じようなものだ。
ルールから外れる、または外れようとすることはなかなか大変なことである。
「ルールがない」と言い放ったタイトルに共感したのは著者が様々なルールを熟知し、経験に基づいて導きだした結果の言葉だと感じられたからである。
浅はかな反逆精神や怠慢さから生まれた幼稚な「ルールはない」と言う言葉とは雲泥の差がある。
もちろん本当にルールを知らないところから新しいものが生まれてくることは多々あることだが、それは赤ちゃんの落書きと何ら変わらない。例えば赤ちゃんはうんこしても事後処理ができない。何も考えずにしたい時に所構わずうんちをする。これは赤ちゃんのルールでしかなく、大人の世界では通用しない。尻拭いをしてくれる人がいて、初めて通用するのである。ちゃんと尻拭いができる大人が、あえて所構わずうんちをするのとは訳が違う。
著者がアナログな手書きのデザイン原稿をいくつも掲載している所を見ると、デジタルデザインが陥り易い定型化にも警笛を鳴らしているようにも感じた。ただ特に押し付けがましいデザイン論を繰り広げてる訳でもなく、きっとそれも意図する所なのだろう。
個人的にはアナログを知ってこそ、デジタル面での可能性が引き出せると思っているアナログ信者なので著者の視点にはとても共感する所がある。
デジタルな機能性は人が「体を使って考えること」にまだまだ追いついてないのではなかろうか。
何故ならデジタルはアナログよりルールだらけであり、本来ルールから外れないように作られているからである。